2020年3月15日、長崎からまりこさんと、娘さん、そしてご家族のお友だちがお越しになり、湖水地方のウィンダミア、グラスミア、ライダルへご案内いたしました。ボウネスからのクルーズ乗船から始まり、キタリスに出会ったり、グラスミアの息をのむような景色をアラン・バンクから楽しんだりしました。その後、ワーズワースが眠るセント・オズワルド教会を訪れ、ダブ・コテージからコフィン・トレイルを歩き、ライダルのライダル・マウントへ。その1週間後には、湖水地方は閉鎖され、訪問者は立ち入ることができなくなりました。2020年の春、最初でそしておそらく最後のお客様であろうまりこさん。旅の思い出をまりこさんの言葉で記してくれています。

ワーズワース」をテーマに案内を依頼したトレーシーは、冬季のスケジュールで運行中の遊覧船やバスを駆使して、 計画を用意してくれました。ハイライトは「ライダル・マウント」。公開されていたワーズワースの旧住居はとても見応えがあり、英文科卒の私にとって、また訪れたいところです。

庭園の散策で出迎えてくれたのは、有名なDora’s Field に咲き誇る無数のラッパ水仙、この時季ならではの風景。愛娘ドーラがなくなった後、当時70代だったワーズワースと彼の妻がふたりで植えた水仙です。その水仙が今年も静かにその思いを伝えていました。今は亡き母が40年前ほどに訪れたこの地を、私もその地を訪れることができたのは夢のようでした。


夕刻、トレイシーは案内が終わっても家族を気づかうかように、私たちが帰るタクシーの手配を再確認した上で自らの帰路につきました。また、湖水地方についての質問に快く答えてくれて、とても助かりました。
トレイシーの案内で一期一会の一日でした。
湖水地方国立公園管理局から「訪問自粛要請」のメールが届いたのは、帰国後数日でした。私が訪問した数日の間に英国で新型コロナウィルスの感染が急速に広がり始めたためです。日本や英国、そして世界で感染拡大中の新型コロナウィルス感染症対策に追われています。外出を自粛することにより、感染拡大を少しでも防ぐため、止むを得ないことに有効な措置。科学者たちの多くは、「これは長距離走。根気よく対策を続けることが大事」と語っています。今、一人ひとりができることを実行して、少しでも早い終息に貢献していきたいです。そう遠くない将来に人々が再び自由に往来できる環境が整いますよう願うばかりです。その時がきたら、ぜひ渡英をしたいです。そしてトレイシーの案内があれば、次はもう少し足を伸ばして、湖水地方を散策したいです。
