その時なんと静かに、
早瀬に嗄声立てる
Aira の滝が
茂れる森の渓谷から物語るかを!
(詩・ウィリアム・ワーズワース『夢遊病者』1833年)
この秋の3度の瞑想の旅、2回目の今回は、アルスウォーター・ウェイ(ウォーキングコース)を行く、シークレット・レイクランド文学ウォークです。いつもは、グレンリディングからホータウンまでアルスウォーター蒸気船に乗り、アルスウォーター湖の南東側に沿ってグレンリディングに戻るのが私のお気に入りです。でも今回は、湖の最北端にあるプーリー・ブリッジの近くを出発して、アイラ・フォース滝までのアルスウォーター・ウェイの一部区間を歩きました。プーリー・ブリッジは、英国唯一のステンレス鋼の橋へと新しく生まれ変わり、羊の群れが橋の開通を祝った日の数日前にバスで到着しました。橋のすぐ手前から歩き始め、多くのなだらかな丘の中で最初の頂上にあるメイデン・キャッスルに向かって、湿ったを避けながら進みます。
お城といっても実際にはただの小高い場所なのですが、それでもアルスウォーター・バレー谷や、東にペナイン山脈、北にブレンカスラの素晴らしい景色を眺めることができます。低い木々の生け垣がその先の道を教えてくれて、ケチャップを作るためにサンザシの実を集めたり、ブラックベリーをその場で食べたり集めたりするに絶好の場所があります。歩き始めて1時間ほど、アルスウォーター湖を左手に垣間見ながら進むと、突然、壮大なバルコニーからの景色に変わります。赤く色づいたシダの茂み(秋には茶色に色づきます)と、咲き終わりの夏の紫色のヘザーの花々が、雨が降ってきそうな低い雲空の日に揺れていましたが、ありがたいことに天気は持ちこたえてくれました。湖の南端には、カンブリアの山々のパノラマに目を惹かれ、夢なら目覚めたくありませんでした。
遊歩道は、低い森林地や湿地帯、牧草地を越えて、アルスウォーター湖を囲む5つの中世の鹿公園の1つであるスウィンバーン公園に通じています。この時期には、雄鹿が発情していたり、人が通るときに素早くものかげに駆け込んだりする様子が見られることがあるのですが、残念ながら今回は見られませんでした。途中、このウェイ(Way)でよく見られるのは、ハードウィック・ストーン石です。カンブリア方言でまだ使われているケルト起源の特別な数の数え方で、ヤン(yan)、タイアン(tyan)、テセラ(tethera)と番号が付けられたハードウィック・ストーン石は、アルズウォーター・バレー谷で羊飼いが果たす役割と、この地域で最も愛されているハードウィック・シープをほめたたえて世に知らせています。ハードウィック・シープは、現在は在来種ですが、1000年以上前にバイキングがこの国にもたらしたと考えられています。これらの風変わりで調和のとれた石があることは、自然の風景に楽しいアクセントを加えています。石それぞれが、そこにあるカンブリアの岩の上に、そして空や木々の下で調和しています。ストーンは、至るところにいる羊たちと同じく風景の一部となっています。
他に注目すべきなのは、1905年10月からあるミステリアスなメモリアル・シート(記念シート他にも、13世紀のピールタワーの敷地内にハワード家(Howards)が1780年代に建てたリュルフの塔 (Lyulph’s Tower)の城壁も見られます。ピールタワーは、英国がスコットランドを支配下におくためにイングランド北部中に張り巡らせた90の要塞塔タワーの1つです。
そしていよいよ、アイラ・フォース滝へ。自然の森林と滝は、近くに住んでいたハワード家が19世紀に森を飾るために当時流行していた巨大なシトカスプルースやモンキー・パズル・ツリーの木などの非在来種の木を加えたことにより、リクリエーション公園になりました。このような方法で自然を作ることは、ウィリアム・ワーズワースにとっては怒りであったことは想像することしかできませんが、環境政策はさておき、樹木の葉が茂る樹冠と22メートル近くある滝(fors: 古ノルド語で「滝」の意味)は、滝の上側と下側にある2つの石橋から楽しむことができる魔法のような森林の散歩道で、橋の1つは旧馬子橋です。ワーズワースが詩「夢遊病者」の中でとらえた、恋人たちや、夢遊、そして水死についての地元の伝説や幻想譚のための完璧な舞台設定がそこにはあります。
1年ほど前、夏にアイラ・フォースへお客様をご案内したときに購入したナショナル・トラスト・ツリー・トレイルを手に、ガイドブックの中で特に興味深いものとして選んだ木を探しました。樹木には説明と一致するように番号が付けられなくなったため、思ったよりも難しいのですが、樹木を探すのはとても楽しく、ためにもなりました。フユナラの木々の中で、ヘムロックやヒマラヤモミの木、イギリスとアイルランド品種のイチイの木の説明と簡単な図に一致する樹木を探しました。
カフェがいつも通りの営業に戻ることを楽しみにしていますが、このポイントからポイントを歩く旅の終わり、バスに乗る前にキオスクで温かいお茶1杯とケーキは楽しむことができました。終わり、とは言ったものの、ウィンダミアへ戻る路線バスからは、アルスウォーター湖だけでなく、小さなブラザーズ・ウォーター湖や、カークストーン・パス、そしてトラウトベック・バレー渓谷の壮大な眺めが楽しめ、ケンダルへ向かいます。その日の旅はまだまだ終わりません。
波荒きAiraの流れ、汝の道を保ちて流れよ、
決して恐るべき筋合いの地ではない。
雲が厳粛なる形にひろがるところは
黄金の光線にて縁取られている!
(詩・ウィリアム・ワーズワース『夢遊病者』1833年)